雨の空間の中、水面にたたずむ:奈良美智《Shallow Puddles》BLUM & POE 東京
gallery 現代美術 キャラクター アート 奈良美智

奈良美智
BLUM & POE 東京での展示風景(2015年)
© Yoshitomo Nara
Voutesy of the artist and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

10月2日から奈良美智さんの個展『Shallow Puddles』が原宿のBLUM & POE 東京ではじまった。


Shallow Puddlesは2004年と2006年に制作されたペインティング作品で、巨大な皿にパッチワークのようにキャンバス生地を貼り付け、おなじみの奈良さんのキャラクターを描いた12点の作品。実はこれらの作品は、2004年に制作された大阪のgraf media gmで6点が展示され、2006年に制作された6点が青森県立美術館の八角堂に展示されていたもので、シリーズ12点が一堂に展示されるのは今回が初となる。

奈良美智さんの作品は実にさまざまなところで目にすることができるのだが、それでも、この神宮の森を望むBLUM & POE 東京の特別な空間で観ることができたのはとてもうれしい。


拝見した時にはちょうど雨が降っていて、中空にとどまるかのようなこのギャラリーはすっかり雨の中にいるようで、そこに奈良さんの描くキャラクターが水面にたたずむような絵皿がならんでいるさまは、まるで自分まで一緒に水に浸かっているかのような錯覚を覚えた。雨の日に、ぜひ。

http://www.blumandpoe.com/exhibitions/yoshitomo-nara-6?lang=ja

摩訶不思議幻想植物園《「ウルトラ植物博覧会」西畠清順と愉快な植物たち》ポーラミュージアムアネックス
gallery 植物 プラントハンター

いま、銀座のポーラミュージアムアネックスが、毒を持つ砂漠の薔薇やハートの葉を持つ棘だらけの木、不老不死の珍果を実らせる蜜柑など、摩訶不思議で奇っ怪な植物に占拠されている。

創業明治元年、150年以上続く花と植木の卸問屋である花宇。世界中を飛び回って、あらゆる植物を調達し、さまざまな依頼に応えているプロフェッショナルだ。これまで世界から集めた植物は10,000種類を超え、集めた植物素材はいけばなやフラワーデザイン、植物園、寺院、ホテル、百貨店、海外でのプロジェクトを彩ってきた。本展は、花宇の五代目で、プラントハンターとして活躍を続けている西畠清順氏の展覧会『「ウルトラ植物博覧会」西畠清順と愉快な植物たち』だ。

8月2日(日)には西畠氏が来場して「プラントハンター・西畠清順 ×こどもたちプラントハンター」 (9:00〜10:00)、「ナイトミュージアムツアー」 (20:15〜21:15)の2つのイベントが行われる。なお、「プラントハンター・西畠清順 ×こどもたちプラントハンター」はニコニコ生放送で生配信される予定だ。

http://sonydes.jp/newblog/archives/3642

最先端表現と古美術のマリアージュ《木本圭子展 velvet order(ベルベットオーダー/柔らかい秩序)》祥雲
gallery アート 古美術 メディアアート 木本圭子 メディア芸術祭 ICC

複雑な自然現象などを数式によって表現する際の「非線形構造」を、コンピュータ・プログラミングを用いて高精細映像を描くアーティスト、木本圭子の個展『木本圭子展 velvet order(ベルベットオーダー/柔らかい秩序)』が銀座の祥雲 Shouun Oriental Artで7月11日まで開催されている。

数理モデルによって映像空間に描き出される姿は、複雑でありながらどこか秩序があるように、光の粒子が軌跡を描きつつ、流れ、踊るさまは見惚れる美しさがある。そこにある一瞬の美は日本古来の美の真髄と通底するものを感じさせる。メインの展示は2Fのパブリックスペースとなるが、1Fの常設スペースには最先端のテクノロジーを利用して描き出された木本の静止画作品と元来、古美術を扱う祥雲の空間と作品群が呼応しあい、新旧のテクノロジーが響き合う、他にない心地いい空間を作り出している。

本展ではNTTインターコミュニケーションセンター(ICC)の「Open Space 2008」でのインスタレーションで長期に渡って行われた実験で集めた膨大なデータから生まれた作品となる。動画作品とともに、動画から切り出したものではない一から作り出した静止画のプリント、ガラスに刻印した3D作品が展示されている。

本の上の彫刻:スー・ブラックウェル《Dwelling -すみか-》
gallery アート 現代美術 電子書籍 ティム・バートン ブック・スカルプチャー

スー・ブラックウェル《灯台守りの小屋》
2014年、W360mm×H240mm×D260mm
紙、本、照明、ガラス・木製ボックス入り紙の彫刻 「スウェーデン, Across the Water」より

電子書籍では成立し得ないアート、それがスー・ブラックウェルが手がける、本を素材とした彫刻=ブック・スカルプチャーだ。ブラックウェルは文学作品をインスピレーションに作品づくりを行う。本を選び、読み終えると、物語のイメージをもとに、読んだ本のページをカットし、本の上に彼女の空想風景を構築していく。本の上という限られた小さな空間に、繊細で儚げな世界が生み出される。彼女の新作となる、ガストン・バシュラールの「空間の詩学」を素材とした「Dwelling すみか」をはじめ、ブック・スカルプチャー11点を紹介する『スー・ブラックウェル「Dwelling -すみか-」』が銀座のポーラミュージアムアネックスで開催中だ。日本ではじめての個展となるブラックウェルだが、すでに世界的に大変高い人気があり、企業のプロモーションやファッション誌でも取り上げられている。熱烈なファンも多く、映画監督のティム・バートンもお気に入りだとか。会期は6月14日(日)まで。

http://www.po-holdings.co.jp/m-annex/exhibition/index.html

台湾式、ちょっとエロくてポップなマンガチック・ワールド:王建揚《宅-HOUSE》
gallery アート 現代美術 マンガ アニメ ポップ 台湾 1

愛麗絲夢遊宅境 Alice in House Wonderland

ポップで、ちょっとエロくて、アニメやマンガのような超現実の世界。台湾のアーティスト、王建揚が描く世界はテーマや手法はありそうなものであるはずなのに、中華風味の独特なテイストが漂う。すべてが現実の中のセットで作り上げられているにも関わらず、モデルだけが現実であるかのように浮き出て見えるのもユニーク。モノクロでマンガのコマに描きこまれた世界に、現実のモデルが溶け込んだ作品も必見。「GEISAI TAIWAN #1」で《宅》シリーズで審査員個人賞を獲得した王は、アジアを中心にワールドワイドで積極的に活動を展開している。ウェブを駆使し、絵画やマンガ、ネット上のイメージを引用し再構築するという、まさに今日的な制作手法を得意としている。5月23日までギャラリー椿で開催中。

http://www.gallery-tsubaki.jp/tsubaki.html

寄り目にしてギャラリーへ:中ザワヒデキ《寄り目》
gallery アート 現代美術 3D ステレオグラム

銀座のギャラリーセラーで、中ザワヒデキさんの個展『寄り目』。タイトルどおり、3Dステレオグラムの作品展。中ザワさんと言えば、へたうまCGの「バカCG」のインパクトが強いですが、今回の3Dステレオグラムはどこか、バカCGの趣があって楽しい。作品には動画もあって、これまでの3D立体視にはなかった新鮮さ。寄り目の練習をしてぜひギャラリーに。

http://www.gallerycellar.jp

アート?マンガ? そんなことどっちでもいい。キョーレツなコンテンツがここにある:エルド吉水《龍子》
gallery アート マンガ 龍子 まんだらけ エルド吉水

さまざまな巨大なパブリックアート作品を手がけてきたひとりのアーティストが紆余曲折の人生の経験を経て、みずからのアートの原点であるマンガに目覚めた。ギャラリーで立ち読みするマンガ『龍子』を公開するアーティスト、エルド吉水だ。

彼の個展ではマンガ原稿が主役であり、来場者は1ページ目から原画に向き合い、作品を楽しむ。数年に渡ってギャラリーで公開され続けている作品はついにフランスで出版されることとなった。世界発売に先駆けて、国内限定版がまんだらけで購入できる。

昭和の香りのする任侠とバイオレンスとサイケなエロが詰まったストーリーのノワール・マンガはまだまだ展開中。ストーリーの続きはまた東京のどこかのギャラリーで読むことができる。マンガ好きもアート好きも龍子の活躍にぜひご注目を!

http://www.mandarake.co.jp/information/sale/ryuko/

彫刻の可能性をまた一歩進めた:名和晃平《FORCE》
gallery アート 現代美術 彫刻 名和晃平

FORCE : KOHEI NAWA

3Dテクノロジーや化学的なアプローチから現代彫刻の新たな可能性に挑み続けている名和晃平の個展「FORCE」が谷中のSCAI THE BATHHOUSEで開催中だ。本展のメインとなるインスタレーション作品「FORCE」は同館の内装を一変させる大掛かりな仕掛けとなっている。
粘性のあるシリコンオイルは、天井から線を引いてホワイトキューブの床面に流れ落ち、高速の河となって再び天井へと戻る。液体でありながら、流動体である特性と重力により天と地をつなぎ、ひとつの形を象って、視覚的には彫刻と言える、見るものの意識を変革させる。4月18日まで。
www.scaithebarhhouse.com

銀座に現れた海は過去の幻影か?:山本基展 原点回帰
gallery アート ギャラリー

銀座、ポーラ ミュージアム アネックスに現れた海。床一面にさざ波のような、星雲のような、生命を感じさせる模樣が描き出されている。山本基が塩のみで描いた世界で唯一無二の芸術「たゆたう庭」だ。銀座の地で潮の香りをかげば、江戸の人々と同じようにここにあった海を感じることができるかもしれない。最終日の3月1日は来場者とともに塩を壊し、塩を持ち帰り、再び海に環す「海に環るプロジェクト」が行われる。
http://www.po-holdings.co.jp/m-annex/exhibition/index.html

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